
駄文集
伽藍球(がらんきゅう)
1999年に地球の内部に存在する地下世界『魔界』との行き来を可能とする『門(ゲート)』が発見される。これにより人類は『魔界』に居住まう『魔族』達と契約をし、地上世界で魔法が一般使用されるようになる。しかしそれから百年経ち、魔法使用が当たり前になった2099年には『魔族』と契約出来ない『契約不可者』が社会問題として取り扱われ、社会不適合者として虐げられるようになっていた。その『契約不可者』である久瀬居一人(くせいかずと)は契約を成功させた者たちから暴行などを受けつつも普通に暮らそうと頑張るが・・・。
プロローグ:―5章~零章
本編第一部:一章~四章
本編第二部(予定):五章~八章
本編第三部(予定):九章・十章・エピローグ
伽藍球
伽藍球《-5章~魔界と契約と~》
「挫けそうになると誰かが耳元で囁くんだ。『大丈夫。きっと何とかなるよ』って」
1
人類が本当に月へと足を踏み入れた年はいまだ確固たる証拠がないが、確
—————
伽藍球《-4章~契約者の苦痛~》
「その声が聞こえる度に怒りの炎が燃えさかるんだ。俺とあいつを燃やそうとする憎悪の炎が」
1
俺の人生に転機が訪れたのは何回もない。
一回目は小
—————
伽藍球《-3章~絶望ときっかけと~》
1
「ふう」
秋が終わり、冬が来た。
寒さが契約者達と同じように一人の傷を痛み付ける。
「さすがにナイフは痛いな」
一人は刺された腹部に手を当てて、よ
—————
伽藍球《-2章~愛情憎悪~》
1
かつての親友を結果的に助けてから、変わったことがあった。
姫美が語る会話の半分以上が一人のことになった。
君と俺、一人は皆クラスが違う。
だから姫美が一人のことを話すのはお
—————
伽藍球《-1章~哀しみの後に~》
1
一人は対面的に変わることはなかった。
姫美が死んでも学校に行っているし、新聞配達もしている。
ただ虐げられることはなかった。
姫美の件で自分達が越えて
—————
伽藍球《零章~事象~》
二〇九九年―久瀬居一人、魔界へと赴く。
二一〇〇年―契約不可者を保護する人権団体『生存圈(レーベンスラウム)』結成。及び魔族の地上移住が始まる。
&nb
—————
伽藍球《一章~宣戦布告~》
二一一〇年三月、日本
ここ十年程度で世界は大きく変わってしまった。契約不可者の差別は少なくなり、少しでも差別がある地域に住む人間は新国家レーベンスラウムへ
—————
伽藍球《二章~各国の思惑~》
二一一〇年七月、暫定国連本部チェルノブイリ
久瀬居一人の宣戦布告から三ヶ月が経ち、状況は大きく変わった。
まず、戦力と国際的な影響力が最も強かった米
—————
伽藍球《三章~夢と契約~》
夢を見ていた。
夢だと分かる夢だ。
おそらく明晰夢というやつだろう。
その夢では会議が繰り広げられていた。
「納得できません」
自分の口から聞いたこ
—————
伽藍球《四章~終わりの始まり~》
二一一〇年十月末、函館仮設基地
牧ヶ野の出動から二週間後、彼はやっと一息つくことができた。
彼はシュヴァルツの操縦をしてから一週間ほど、青森基地の独房で拘束されていた
—————
アイテム: 1 - 10 / 10