駄文集


 

経済選挙

大企業や財閥の子息・令嬢が通う学校に、突然入学する事になった三ツ城かんな。元々平凡な生活をしていた彼女は、腹違いの兄に引き取られて、彼の生徒会長選挙への手伝いをするように強要される。兄の元に集ったロボットを含む個性的なメンバーと打ち解けつつも、今までの生活水準との違い四苦八苦しながら、彼女はトラブルへと巻き込まれていく。


経済選挙

経済選挙《プロローグ》

プロローグ    窓もなく明かりもほとんどない大部屋で、数十人の人間が議論を交している。  その多くの意見に対する答えはもう既に出ており、円形に何列も設置された席の一つに座る

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経済選挙《1》

1    わたしは緊張する身体で朝食を食べながら、体感で言うと約十メートルくらい離れたテーブルの反対側に位置する席で座る男へと視線を向ける。 「ん? どうかしたか。手が震えて

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経済選挙《2》

2    次の日は何故か登校風景が変わり、リムジンの車内に兄とわたし以外の人間が三名ほど。 「かんなちゃんって言うんだね」  そう話しかけてくる萌さんのおかげで、自分が昨

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経済選挙《3》

3    昨日と同じように傘下の面々が揃うリムジンの車内で、昨日と同じく兄が馬鹿なことを言っているのをわたしは眺める。 「その有能な部下共を残らず殺せ」  朝から高カロリ

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経済選挙《4》

4    一晩中考えた結果、わたしは学校に行くことにした。  朝起きて、無言で朝食を済ませて、無言でリムジンに乗車し、無言で登校した。  その間、兄の存在は徹底的に無視し

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経済選挙《5》

5   「へぇ~、誘拐されちゃったんだ」 「誘拐されちゃいましたぁ、えへへぇ」  昼食後、わたしは昨日の顛末をほのかさんに報告します。 「でも、二人の顔を見る限り、誘

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経済選挙《6》

6    一晩開けて、次の放課後。土曜日と言うこともあり、今日は半日でついて行けない授業に『サラダ・バー』と別れを告げます。  そして平日より人が若干少ない食堂で、また三人と

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経済選挙《7》

7    転校してから七日目の朝。わたしは早朝に叩き起こされて、渡邊さんが運転する車(普通の長さ)に乗せられ、兄と共に何処かへ向かっています。 「……どこへ向かっているんです

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