
駄文集
その日に限って雨
夕方から雨が降っている。
ざあざあと、煩くて清々しい旋律を奏でていた。
僕は、雨は嫌いだ。
けれど、雨音はそれなりに好きだった。
心地よい雑音。
大人しく自己主張が強い音。
そのような雨音には、安らぎを感じられた。
だから、僕は外に出る。
傘もささずに。合羽も着ずに。
雨粒と雨音を一身に受ける。
気持ちが良い。
晴れ晴れとする。
洗い流される。
そのような誤認をしてしまいそうになり、冷静になる。
身体も冷えて、頭が冴え渡る。
そして視点は代わり、現状を俯瞰してしまう。
「ああ、洗濯しなくちゃ」