駄文集


今日の情報屋さん《第四話:変態リターンズ、そしてグッバイ》

 

「ふあっはっはっ!」
 変態が今日もやってきて、この前のことなどなかったかのように高笑いをしている。
「お前は学ぶということを知らないのか?」
 無駄と知りつつ僕は訊ねる。
「なにを言っているんだい、我が強敵よ? 我は前回なにも成し遂げていないじゃないか」
 要約、用が済むまで何度でも来るから無駄な抵抗はよせ。
 僕にはそう脅迫された気がした。
「それよりも、今日はあの無垢な少女はいないのかい?」
 変態はわざとらしく周りを見回して、分かりきったことを訊いてくる。
 もしやこいつ、ロリコンか?
「おっと、まさか我が仇敵は我をロリコンなどと低俗な邪推をしていないかい?」
 意外と洞察力はあるようだ。
 しかし低俗な邪推って、高尚な邪推を教えて欲しいものだが。
「違うのか?」
「当たり前だ! 我は子供に興味はない。ただ無垢な少女はいるか否かを確認しただけだ」
 そんなことを露骨にがっかりと肩を落としながら言われても。
「そうか、ならさっさと用事を済ませろ。今すぐに」
「まあまあ、そんなに焦るな我が宿敵よ。時間はたっぷりあるではないか」
「そうだな、警察が来るまでまだあと五分くらいはあるな」
「なに!? また通報したのかっ?」
 してないが、早く用件を済まさなければそれもやぶさかではない。
「とりあえず、お前に与える時間は残り五分だ。さっさとしろ」
「うっ……」
 変態が焦り始める。面白いからこのまま通報してないことは黙っておこう。
「わ、分かった!用事というのはだな―」
 サイレンが近所で鳴る。
「貴様!五分あると言ったではないか!」
「……いや、僕は」
 僕が通報してないことを伝える前に、変態は前回と同じく公園の茂みを飛び越えて行く。
「しっしょ~♪ ですます~!!」
 入れ替わりに弟子々がサイレンを鳴らしているであろう機械を頭に乗せて走って来る。
「このサイレンはお前が原因か」
「はいっ! なのですます!」
 これは良い。変態避けに一つ買い取らせて貰おう。
「それで、それはなにをする機械なんだ?」
「これは警官を代替する、タイホマシーン『ピーポーくん』なのですます!」
 ほう、かなり使えそうだ。
「ただ、警視総監さんの脳が必要なので、まだ未完成なのですます」
 弟子々はしょんぼりとしながら言う。
「……警視総監じゃなきゃ駄目なのか?」
「総理大臣でも問題はないですます」
 だからなんでそこまで国家の権力者じゃなきゃ駄目なんだよ。
 なんて訊いてもまともな返答は得られなさそうだ。とりあえず、サイレンを切って貰う。
「仕事をするぞ」
「はい!ですます!」