駄文集


暁の最果てへ

日が暮れそうになり、ふと気付く。
本日、僕は呼吸しかしていないと。
歩いてもいないし、起き上がりもしていない。
瞼を開いて天井を眺めていただけだ。
何故?
問いかける。
しかし、それは明白で、返答すら必要がなかった。
なんとなく、だ。
なんとなく僕は動きたくなかったし、なんとなく僕は何もしたなかった。
つまりは、ぼうっとしていたのだ。
実に贅沢な時間の使い方をしたと思う。
 
これが月曜日でなければ。
 
当然、学校から電話はあったようだし、母親も部屋まで入ってきた。
そして更に当然の如く、叱られた。
でも、先述した通り、僕は何もしていない。
ただただ聞き流した。
いや、柳が風にそよぐように、流した。
勿論、母の怒髪は天を衝き、霹靂の如く振り下ろされた。
と思う。
こちらも先述した通り、僕は聞いていないので分からない。
たぶん、きっと、おそらく、そうだったのだろうな、と想像しているに過ぎない。
あの母ならキレるだろう、と。
まあ、僕の母親以外でも、この状況なら怒るだろう。
それは当然だと思うし、そして同時に正論なのだろう。
ただ、今日の僕には関係なかった。
関係するものがこの世になかった。
学校も親も友人も食事すら、今日の僕にとっては因果関係を感じられなかったんだ。
そうしようと思ってそうなったわけではない。
そして、過去にこの様なことがあったわけでもない。
ただ、今の僕には『何もしなかった今日』は、なにものにも代えられないように感じられた。
だから、と締めくくるわけではないが、やはり、だから明日が怖く感じてしまうのは仕方がないといえよう。
まあ、お腹が空いた今の状態で対峙する母もまた、似たように怖い。