駄文集


朽ちる散るチルドレン

 誰しも昔は子供だった。
 だが、子供時代に感じた事を老いても語る事は難しい。
 それは慣れるからだ。
 子供の頃は何もが新しく新鮮だ。
 知らない事ばかりで、未経験の事象ばかりが周囲を取り巻く。
 あれはなに?
 これはどうなの?
 それは?
 呼吸するように初体験を繰り返す。
 それが年を重ねる毎になくなっていく。
 あれはこう。
 これはどう。
 それはね。
 経験と知識が蓄積し、知っている事ばかりだと錯覚する。
 本当は、知らない事の方が遥かに多い事には目を背けて。
 大人なんていないのだ。
 そこにいるのは、小さくない子供だけ。
 感性が朽ちて、
 感覚が散り、
 そこにいるのは大きなチルドレン。