駄文集


ressha!?

 列車という物をご存じだろうか。
 勿論馬鹿にしているわけではなく、単なる確認事項なのだが。
 本来列車という物の造形は多く語らずとも目にする機会がいくらか多い方に分類されるその乗り物を想像してほしい。
 如何だろうか。
 では、その次に僕の目の前にある列車と呼ばれる物を説明しよう。
 まず、足がある。
 そうだ、京都へ行こう。でもアシがない。の足ではなく、実際に人間についているような、いや、造形からしてロボットに歩行をさせるために付けるような、その足だ。
 その足は各車両に三本ずつ付いている。
 とりあえず、そこからおかしいだろう。
 移動用の脚は基本的に偶数本と決まっているのが自然界の常だ。奇数本はカメラの三脚のように固定用だと相場は決まっている。
 しかし、この足は移動用らしい。
 でも、車輪が付いている。付随している。取り付けられている。
 足と車輪の両方を付けてどう移動するのか想像を絶すると言わざるを得ない。
 想像力の乏しい僕の知る限りその両者が合わさり調和が許される乗り物は人力車くらいしか思いつかない。
 人が引っ張るあれだ。
 主に浅草に生息している。
 見たことのない人は一目見ても死にはしないから見るのも損ではないだろう。ましてや乗ってみるなんてサドっけのある行為を楽しむ勇気があるなら試してみるのも良いだろう。きっと引っ張ってくれる人が真夏の昼間に汗をナイアガラのように垂らしながら頑張ってくれるだろう。
 だが、人力車や馬車のように足が前にあり、その後ろに車輪の付いている車両が繋がれているわけではない。先頭・後方・中央に左右交互にその足は備え付けられている。
 この時点で随分と奇異なる列車だと言えよう。しかし、それだけではこの列車の特異性は終わらない。
 屋根がない。
 自分の能力の限界(てんじよう)を考えずのびのびと育ってほしいとかそういうレベルではない。
 実質的な問題としてどうやって雨風を凌ごうという段階で考えれば初期的なミスと言うより根本的な設計ミスとしか言えない。
 それはきちんと考えてあると主張するかのように車内の座席には百円均一のお店で買えそうなビニール傘が備え付けられているが、それだけじゃ駄目だからと光速で突っ込みたくなる。
 しかし、聞いた話によるとこの列車は音速に近い速度で走るから屋根自体は実際に必要ないらしい。しかも泊まる駅は屋根が付いてるので更に屋根は必要ない。
 じゃあ、傘要らないじゃん。というより、音速に近い速度が出るなら余計に車内を屋根を付けて密閉する必要があるのでは。そして、足と車輪でそのような速度が出るのか、等と色々突っ込みどころが満載だが、それを解決し、更なる突っ込みどころを作る答えが用意されていた。
 どうやらこの列車はレールの上は疎か地面の上すらも走らないらしい。
 足も車輪も要らないんかい。
 だが、勿論先程足は移動用と説明したばかり。
 実際に移動用として必要らしい。
 何故なら、この列車は亜空間を走るらしいからだ。
 おそらくこの時点で話しについて来られなくなった者が多くいると思われる。かく言う僕ももう既について行けない。というより、最初からもう既に三千キロメートルくらい置いてけぼりをくらっている。
 列車に足って何だよ。
 そんな呆れ顔をすることすら出来なくなってただ単に遠い目をすることしかできなくなった僕にこれらの事項を現物を見せながら説明している人物が実は右隣にいたりする。


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